美浜町野間地区在住、イベントや展示会のディスプレイ装飾関係の仕事の傍ら、 自宅のリノベーションを機に、古材を使ったモノづくりをはじめました。2015年秋には古民家 暮らしを知ってもらうためのイベント「古民家walk」を開催し、古民家暮らしの 可能性を提案しています。
大学を出てしばらく実家暮らしだったのですが、20代後半くらいの頃に音楽をやっていた都合で、名古屋で暮らすことにしました。栄にも名古屋駅にも近い便利なところに住んでいたのですけど、結婚して子供ができて、やっぱり子供を育てていくのに自然のあるところの方がいいなというのと、両親がいるということもあって美浜に戻ることにしました。
この家は、祖父母が住んでいた家で、自分も小学生くらいまで暮らしていた思い入れのある家です。改修して住みたいと言い出したのが、ちょうど震災の後ということもあって、地震や津波は大丈夫かという心配を両親や親族にされましたが、古民家再生協会に鑑定してもらって、古い家を不動産価値だけではない古材のよさであったり、少し違った視点で評価してもらいました。いろいろな人に協力してもらうなかで、周囲を説得しながら進めていきました。
完成して実際の暮らしや空間を見たときに、最初は反対していた人や「全部解体して新しい家を建てなおした方がいいよ」と言っていた人たちも、「こういう暮らし方もいいね」とか「面白いね」と言ってくれて、やっぱり間違ってなかったんだと思えました。
元々キャンプやアウトドアが大好きで、若い頃から毎年いろいろなところに行ってテントを張ってバーベキューしたりしていたのですが、ストーブがあると家の中でキャンプしているような感覚になれますね。アウトドアクッキングではないですけど、ダッチオーブンで料理したり、炭火で料理したり。
ストーブで使ってる薪も全部美浜町の木で、自分で割って作っています。薪にする木も、周りの人から「邪魔だから切ってくれたらもっていっていいよ」と分けてもらったり、「家の木を切ったのだけど処分費かかるから持っていってくれないか」と言われたときなどに〝ありがとうございます〟と貰いに行っています。野菜や魚を地産地消するのと同じ感覚で、エネルギーも地消できたらと思っています。
一言でいうと、「ちょうどいい田舎」です。名古屋にも一時間あれば行けますし、すごく山奥で不便という訳でもなく、海や山、自然も近くにあるという、ちょうどいい距離感です。名古屋での仕事が多いのですが、朝出て夜には帰ってこれますし、都心まで通勤時間はかかるというマイナスの部分はあるけれど、その分休みの日にリラックスできるというプラスの部分があります。安く借りられる家もあるので、週末だけ畑や釣りをしにきたりするようなライフスタイルも可能だと思います。
あとは、食べ物が本当においしいですね。うちは家庭菜園くらいですが、自分で野菜を作ったりもできますし、特に魚は全然違います。名古屋で暮らしていた時と比べてスーパーで売っている魚の目を見るだけでも、鮮度の違いがわかります。
海沿いをのんびり散歩して、流木などを探して拾うビーチコーミングをしたり、夕陽を見て和んだりして、とにかく美浜の海が好きです。スナメリを見つけたり、ウミガメの卵がちょうど孵化して海に帰るところを目撃したこともあります。
古民家暮らしの魅力や、暮らしぶりを知ってもらうために始めました。野間地区にある数件の古民家を歩いて回るサーキット型のイベントを企画しました。たくさんの人に、古民家を利用した暮らしの豊かさを知ってほしい、新築にはない良さや、ライフスタイルを伝えたいという想いがありました。展示場ではなくて、実際に暮らしているリアルな古民家をみてもらうことで、少しでも、古民家暮らしをしてみたいとか、そんな暮らしができる美浜に住んでみたいとか、そういう風に感じてもらえるきっかけになればと思いました。
開催当日は、アコースティックライブや木工ワークショップ、1日限定のカフェなど色々な催しを盛り込んで楽しく周って頂けるように考えました。第一回を開催しただけですが、想像していたよりもたくさんの人に来て頂けました。
今後も継続して続けていくとことが大事だと思っていますし、受け皿としての古民家を増やしていくことも今後の課題です。次回は協力者が更に増たらいいなと思います。