美浜の自然の恵みを生かしたスイーツの数々。四季の移ろいの中で様々に変化する景色と、旬の素材をふんだんに使ったお菓子を五感で味わうことができる場所です。
岳二) 私の実家は名古屋市の中川区で和菓子屋を営んでいたため、いずれは親の跡を継いで和菓子屋へと思っていたのですが、時代も時代ですから洋菓子も勉強しておいた方がいいのではないかということで、東京新宿にある東京製菓学校へ行きました。いずれ名古屋に帰る上で、東京にて洋菓子を5年間修行しました。その後、関西の方も見たいと思い、大阪で5年間修行をして、それでいよいよ自分の店をということで実家の名古屋に帰ろうと思ったのですが、なかなか場所が決まりませんでした。最終的に、豊明にある中京競馬場の近くで、最初のお店をオープンしました。そこは自然が多く、緑豊かなロケーションでした。店の名前の「フレベール」というのはフレッシュブルー・フレッシュグリーンという意味の造語です。そこでは移転を含め20年間営業をしました。
岳二) それから周辺環境の変化もあって、次の場所探しが始まりました。海と緑がある場所が希望で候補地を探したのですけれど、不動産屋さんは全部で100件は回ったと思います。美浜町は三河湾と伊勢湾に挟まれた地域で、インターを降りて右左どちらに行っても10分で海に出られるすごいところです。とにかく海を見下ろせる場所がよくて、やっと希望の場所に巡り会えました。不動産屋には「あんな場所で大丈夫ですか?」と言われたり、開店直前まで竹やぶで全然海も見えないような状態で苦労もしましたが、きちんと整備すれば絶景になると信じていました。
富美子) 開店前は「よそ者が来た」みたいな感じで受けいれてもらえるかな?という不安はありました。心配でしたが、始めてみるとそういうことは全くなくて、近所のおばあちゃんたちもよくパフェを食べに来てくれたりします。神社の祭りも山車が来てくれたりと、見知らぬ所から来た私たちにも積極的で、オープンハートというか、さすが海の人たちだなと感じました。地域に溶け込みやすい土壌があるというのはありがたいことです。
岳二) お店の仕事や、修行自体にもきついこと、辛いことはありますが、雄大な自然、美浜の海が見える豊かな環境の中に身を置くことで、乗り越えていくエネルギーをもらうことができます。自分たちの日々の暮らしもそうですが、従業員がホッとできる場所にもしたいと思っていました。また、自分の夢として、ショーケースごしに海を見ながらお客さんをお待ちしたいという思いがありました。地中海のように海に向かって商売をしたかったのです。
あきらめずに信念を持って続けていれば、叶う時がくるものですね。今まさにショーケース越しに海を眺めながらお客さんを迎えています。ここにお店を開くことができてよかったと思います。遠くから足を運んで頂けるお客様も増えてますし、この場所の魅力を伝えながら、観光のついでに立ち寄ってもらって、町の魅力にも気付いてもらえたらと思います。
岳二) 田舎に暮らしながらも、しっかりと洗練されたものづくりを行うことで、地元にもこんな場所がある、地域の誇り、励みになるようなお店を目指したいです。
お客様は「海、本当に目の前だね」と言って感動されます。外から来た私たちも、海のあるまちに住んでいる実感を楽しんでいますが、地元の人たちは逆に近くにありすぎて感じ方も違うように思います。
子どもたちは成長して他の所に行ってしまうではなく、出て行くのを心が止めるような、誇りに思えるような場所にしていきたいのです。そのポテンシャルはあると思います。
これからも地域のお祭りやイベントには顔を出していきたいですし、高齢化していく地域において、活気を感じてもらえるような場所でありたいと思います。