丹内）出身は釜石市です。僕が母の出身の釜石市でトライアスロンを始めたのは17 歳の時でした。今は日本福祉大学で社会福祉部の非常勤講師をしていまして、2011年の東日本大震災の年から釜石のトライアスロン大会復活など、スポーツ振興などにも関わって来ました。釜石のトライアスロンと音吉トライアスロンはよく似ていて、海沿いで手作りの大会、僕たちトライアスリートは、伊良湖大会、蒲郡大会、音吉（美浜）を３大大会と言っていたのですが、音吉大会が数年前になくなってしまって、何とかもう一度トライアスロンのような企画をしたいと思っていて、いきなりトライアスロンは無理でも、まずは走ることから始めようと「音吉を愛する走る仲間の会」を立ち上げました。マラニックは、マラソンとピクニックを掛け合わせた造語です。ストイックなランニングやトレイルランとは違い、地域の景色を楽しみながら、美味しいものを食べてのんびり走るという、美浜の風土に合わせた、ゆったりとしたスポーツイベントです。今年で２回目ですが、口コミなどで遠方からも家族連れや年配の方など様々な世代のランナーがエントリーしてくれるようになりました。

森川）屋号は「季の野の台所」といいます。私は結婚して常滑からこちらに嫁いで来ました。隣町ですけれど県境を越えてきたような新鮮さがありました。農業を営みながら、都会の消費者の方々にここに来ていただいて、農業体験や教育ファーム、味噌作りや醤油作りなど、例えば、よもぎを積んで天ぷらにするとか、田植えから稲刈りまで行ったり、暮らしと食に密着したことをしています。丹内さんと話しているうちに、私の農家としての今まで行ってきた「食育」の部分と「走ること」を掛け合わせると、いろいろな人に美浜の良さも知ってもらえるのではないかと思いました。また、地元にずっと住んでいると、その土地の良さってなかなか気が付かないのですが、イベントを通じて都会の方々が来て「いいところだね」とか「おいしいものがいっぱいあるね」と評価してくれることで、改めて地域の人にも美浜町の良さを再認識してくれる機会になればと思っています。ここを走る人に美浜町の良さを知ってもらい、地元の人には地域に誇りを持ってもらうという両方のことを期待して始めました。

丹内）1年目は歩いたり走ったりする愛好家の方に来てもらって、一人500円いただいて、森川さんのところでご飯を作ってもらって、ただ走って帰るだけでなく、おいしいものを食べながら、地域のごみを拾ったり、ルート整備をして、それを元に布土地区の走る人の参考になればと、マップを作成しま　

森川）1年目にルート整備を行ったときに来てくれた方が今の「音吉を愛する走る仲間の会」のメンバーになってくれて、それぞれの得意分野でずっと支えてくださっています。

森川）自分も農家として米や大豆を作って、味噌作り教室や醤油絞り体験をしているので、エイドの方も美浜町で作っている人か、地産食材を使っている人を中心に、ランナーの疲れが少しでも少なくなればと、美浜産のお米を飲む点滴と言われる甘酒に加工してもらったり、ウチで仕込んだ味噌を練りんだクッキーを焼いてもらったり、最初は軽めのもの、最後にお腹にくるものを持ってきたり、順番にもこだわって、甘いものや辛いものを織り交ぜるなど、食べること走ることを楽しんで頂けるように色々と工夫も凝らしています。

森川）一番最初のコース整備の時に「自分たちは走るだけで楽しいのに、おいしい野菜やご飯を食べさせてもらえるなんてうれしくて」と言われて。農家の私としては、走ってもらって、草も刈ってもらって、こんなお昼ご飯を出すだけで申し訳ないというところがあるのですが、ただ走る人にとってはそういう価値観があるということを改めて知ったので、来年はまた原点に返りつつ、美味しいものを沢山用意して大会の運営にも生かしたいと思っています。

丹内）スポーツを通じて人と人とがつながり合うコミュニティができればいいなと思います。マラニックなどを通じて交流人口を増やすことで、人の顔が見えるようなスポーツツーリズムを創りたいと勝手に夢見ています。